法務の転職で評価されるスキル【採用8年で見た経験と落とし穴】

法務の転職で評価されるスキル。採用8年で見た「市場価値が高い経験」と「意外な落とし穴」 のアイキャッチ画像

法務として転職を考えるとき、「自分の何が、武器になるのだろう」と迷うことはないでしょうか。契約審査は、法務なら誰もがやっている仕事です。では、転職市場で本当に評価されるのは、どんなスキルなのか。

私自身の転職と、採用する側を8年務めた経験から、面接で「この人欲しい!」と感じた瞬間も交えながら、率直に書いてみたいと思います。

なお、評価される「姿勢・考え方」については別の記事に書いたので、この記事では、具体的な「スキル・経験」に絞ってお話しします。

目次

転職市場で評価される法務のスキル

法務のスキルといっても、幅があります。その中で、私が「転職市場で特に評価される」と感じてきたものを、四つ挙げてみます。はじめの二つは法務に固有の専門スキル、あとの二つはそれを支える土台のような力です。

① ニーズの高い専門領域

一つ目は、ニーズの高い専門領域の経験です。とりわけ、コンプライアンスは、近年とくに求められることが増えていると感じます。企業の不祥事が大きく報じられる時代になり、社内の体制づくりや、リスクの早期発見ができる人材は、多くの会社で重宝されます。

コンプライアンスのほか、M&A(企業の合併・買収)や、事業に深く関わる法務の経験も、経験者が多くないため、評価されやすい分野です。私自身、転職のときに評価されたのも、この「経験の幅」だったと感じています。契約審査だけでなく、M&Aやコンプライアンスまで一通り経験してきたことが、「何を担当させても任せられそうだ」という安心感につながったのだと思います。採用する側に回ってからも同じで、一つの分野しか経験のない方より、隣の領域まで手を伸ばしてきた方のほうが、入社後の姿を描きやすく、採用しやすいというのが本音でした。

② 語学と海外勤務

二つ目は、語学力と、海外勤務の経験です。英語、とくに英文契約を扱える力は、それだけで一つの強みになります。グローバルに事業を展開する会社では、欠かせないスキルだからです。

そして、海外で実際に勤務した経験も、高く評価されます。私自身、中国に駐在し、現地のスタッフを率いていた時期がありました。そこで効いたのは、語学や契約の知識以上に、文化も前提も違う相手と、仕事を前に進めた経験そのものでした。

加えて、海外勤務に選ばれるのは「経験を積ませたい人」であり、言い換えると「期待されている人」であることが通常です。であれば、現職で評価されている可能性が高い、と面接する側は判断しています。

③ 問題を「解決」した経験

三つ目は、単なる法的助言にとどまらず、現場の問題を実際に「解決」した経験です。「法的にはこうです」で終わらせず、相手の課題をどう前に進めたか。これはスキルというより姿勢に近く、評価のうえでも大きな比重を占めます。ただ、この「提案して解決する姿勢」については、別の記事で詳しく書いたので、ここでは入口だけにとどめておきます。

あなたの市場価値は、思っているより高い。管理部門(法務・人事・経理)が転職で評価される3つの軸

④ 社内調整力・マネジメント

四つ目は、社内を動かす力です。法律の知識があっても、それだけでは物事は進みません。関係する部門を巻き込み、結論を形にしていく力です。法務の場合、事業をしている部門とコンフリクトがあるなかですり合わせが必要になる場面もあります。採用する側で見ていても、「関係部門を巻き込んで成果を挙げた」経験を語れる人は、多くありませんでした。だからこそ、語れる人は印象に残ります。

意外と差別化にならないスキル

一方で、「これは武器になるはず」と思われがちなのに、事業会社の法務への転職では、意外と差別化につながらないこともあります。あくまで私が採用する側で感じてきた範囲の話で、一概には言えませんが、参考までに挙げてみます。

一つは、弁護士事務所での勤務経験です。弁護士であっても、パラリーガルであっても、事業会社の法務とは、求められるものが少し違います。事業会社では、法律の正しさだけでなく、ビジネスを前に進める力が問われるため、事務所での経験が、必ずしもそのまま強みになるとは限りません。

もう一つは、他部門での経験です。幅広い経験は良いことのように思えますが、専門職である法務の採用では、やはり法務としての専門性の高さが、より重く見られる傾向があります。

そして、海外「留学」です。海外で学んだ経験と、海外で実際に働いた経験は、別物として見られがちです。留学そのものを否定するわけではありませんが、「海外経験あり」とアピールするときは、勤務なのか留学なのかで、相手の受け取り方が変わることは、知っておくとよいかもしれません。

同じスキルでも、評価は会社次第

ここまで、評価されるスキルと、そうでないものを挙げてきました。けれど、最後に大事なことがあります。同じスキルでも、その評価は、受ける会社によって変わる、ということです。

ある会社では強く求められるスキルが、別の会社ではそれほどでもない。会社ごとに、抱えている課題も、欲しい人材も違うからです。ですから、自分の経験をすべて棚卸ししたうえで、「どこをアピールすべきか」は、相手に合わせて調整する必要があります。

そのときに頼りになるのが、転職エージェントです。自分の経験を伝えて、「この会社なら、どこがアピールになりますか」とフィードバックをもらう。とくに、JACリクルートメントのように、採用する企業を担当するエージェントと相談できる場合は、その会社のニーズに合わせて、アピールの仕方を一緒に考えられます。私自身がエージェントを使った体験は、別の記事に詳しくまとめました。

JACリクルートメント公式サイト

JACリクルートメント体験記。登録から内定・年収交渉まで、実際どうだったか

まとめ 評価されるのは「解決した経験」、同じスキルでも会社次第

法務の転職で評価されるスキルは、ニーズの高い専門領域、語学と海外勤務、問題を解決した経験、そして社内調整力。逆に、弁護士事務所の経験や、他部門の経験、海外留学は、思うほど差別化にならないこともあります。

そして、同じスキルでも、評価は会社次第です。まずは自分の経験を棚卸しし、エージェントに相談しながら、受ける会社のニーズに合わせてアピールを組み立てていく。それが、自分の市場価値を、いちばん高く伝える道だと思います。なお、大手かベンチャーか、どの業界か、どこで働くか、といった「どの方向に転職するか」の全体像については、別の記事にまとめています。

法務の転職の方向性【大手・ベンチャー、業界、場所、そして「やりがい」】

法務の転職で評価されるスキルと差別化になりにくい経験のまとめ図解
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