転職で失敗したくない。誰もがそう思います。では実際に、どんなときに「失敗だったかも」が起きるのでしょうか。採用側を8年務め、自身も転職を経験した立場から、見てきた失敗のパターンと、その避け方をお伝えします。失敗の多くは実力ではなく、ミスマッチで起きていると思います。
転職の失敗は、多くが「ミスマッチ」
「書類選考で落ちる理由5つ」で、採用の合否は実力そのものより、会社と人の相性で決まる部分が大きい、と書きました。入社後にうまくいくかどうかも、同じです。私が採用側として見てきた「うまくいかなかったケース」は、能力の問題というより、ほとんどが相性(ミスマッチ)の問題でした。
会社側から見えた、うまくいかないパターン
① 文化のギャップに、困惑してしまう
印象に残っているのは、中小企業から大企業に来られた方のカルチャーギャップです。報連相の多さや、自分ひとりで決められることの小ささに、困惑されているようにお見受けしました。それまで自分の裁量で決められていたことに、大きな組織では調整や手続が必要になったりします。良し悪しではなく、文化の違いを感じました。
② 「指示待ち」から、抜けられない
「面接では経歴を上手に語れるのに、入社後は受け身」というパターンも、実際にありました。印象的だったのは、インフラを担っている会社から来られた方が、「指示待ち」のスタイルからなかなか抜けられずにいたケースです。
これは能力や人柄の問題ではなく、長く働いた組織の文化は、それだけ深く染み付くという話だと思います。だからこそ、移る先の文化と自分のスタイルが合うかは、入る前に考えておきたいところです。
③ 「思っていた仕事と違う」、 名前だけで決めてしまう
早期に辞めていかれる方の理由として実際に見聞きしたのは、「思っていた仕事と違う」でした。大企業の名前だけで転職を決めてしまうと、自分のやりたいことと業務の中身のマッチングを確かめないまま入社することになり、早期に再転職を検討せざるを得なくなります。
業務の中身は、入る前にある程度確かめられます。「法務の面接でよく聞かれる質問7つ」で書いた逆質問は、そのための道具にもなります。
「年収」や「社名」だけで決めると、なぜ危ういか
前の話とつながりますが、年収や会社のネームバリューといった「看板」だけで転職先を決めるのは、危ういと思います。
年収だけがやりがいだ、という方なら、それでも良いのかもしれません。ただ多くの方は自分なりの社会貢献のあり方をお持ちではないでしょうか。看板は入り口では魅力的に見えますが、入社後のやりがいは、業務の内容だと思います。大事なのは、自分の軸と中身のマッチング。ここに尽きると思います。
では、転職は怖いものか 私と、周りの実際
ここまで失敗の話を書いてきましたが、転職そのものを怖がる必要はないと思っています。私自身の転職を振り返ると、大きな失敗はありませんでした。思ったより忙しかったですが。
周りを見ても、転職していった方々は、それぞれの場所で活躍していました。軸を考え、マッチングを確かめたうえでの転職は、キャリアを開いてくれます。
転職は慎重に。ただし、登録は気軽に
誤解のないように、私の考えを整理しておきます。転職そのものは、気軽にしないほうが良いです。会社の名前や年収に惹かれて勢いで動くのではなく、自分の軸と業務の中身のマッチングを確かめてから、決断したいところです。ここまで書いてきた失敗パターンは、いずれもこの確認が足りなかったケースだと思うからです。
私自身も、転職を決めるときには、得るものと失うものをすべて書き出して比べました。その決め方は「30代課長の転職決断フレーム」に書いています。
一方で、エージェントへの登録と面談は、気軽にして良いと思います。むしろ、全員してもいいくらいに考えています。自分の市場価値を知り、求人の実像を知ることが、慎重に判断するための材料になるからです。「転職エージェントの初回面談で何を話すか」に書いたとおり、登録は気軽に、面接は真剣に、です。
軸の決め方は「法務の転職の方向性」に書きました。書類や面接の備えも含め、この一連の記事が、ミスマッチを避けるための準備になれば嬉しいです。
まとめ 失敗の多くはミスマッチ、社名や年収だけで決めない
最後に、要点を整理します。
・転職の失敗は、多くが実力ではなく相性(ミスマッチ)の問題です
・採用側から見た典型は、文化のギャップ、「指示待ち」からの脱却の難しさ、「名前だけ」の決断
・年収や社名という「看板」だけで決めない。自分の軸と、業務の中身のマッチングを
・転職は慎重に。ただし、エージェントへの登録は気軽に。まず判断材料を集めることから
私が実際にエージェントをどう使ったかは「JACリクルートメント体験記」に、感情に振り回されず判断する考え方は「感情に振り回されず判断する方法。客観を書き出してから、感情を足す」に書いています。あわせて読んでいただけたら嬉しいです。
