職務経歴書は数秒しか見られない。そんな話を聞いたことがあるかもしれません。少なくとも私は違いました。法務の採用側として8年、1通に5分ほどかけて読んでいました。しっかり読まれるからこそ、書き方で差がつきます。この記事では、採用側の「見方」と、応募側として私が工夫したことをお伝えします。
採用側は、職務経歴書をこう読んでいた
まず前提として、私のいた会社では、職務経歴書は2〜3人がそれぞれ読み、合議で面接に進むかどうかを決めていました。1人の主観だけで決まるわけではありません。そして私は、1通に5分ほどかけて、しっかり読んでいました。
見る順番:まず「これまでの仕事の内容」、次に「年齢」
私が最初に見ていたのは、大学を卒業してからの仕事の内容です。そのうえで、年齢を見ていました。年齢から入るのではなく、「何をしてきた人か」をまず把握してから、キャリアの長さと照らし合わせる。そういう読み方でした。
見ていたのは、4つの経験の「有無」
仕事の内容で確認していたのは、大きく4つです。事業法務の経験、コンプライアンスの経験、紛争解決の経験、そして海外経験。それぞれが「あるか、ないか」です。経験の深さまでは書類では分かりませんから、深さは面接で確認する前提で読んでいました。
逆に言えば、書類の段階では「経験の有無が伝わること」が何より重要です。豊富な経験が読み取れる職務経歴書ほど、単純に、お会いしたくなりました。
年齢と経験のバランスも見ていた
正直に書くと、年齢に対して経験が少ないと、見送りになりやすいのも事実でした。既存メンバーとのバランスが取りにくいためです。
ただ、これは悲観する話ではないと思っています。経験そのものは今から増やせなくても、「伝わり方」は変えられるからです。携わってきた案件を思い出し、先ほどの4つの経験に振り分けて棚卸ししてみると、自分で思っているより経験が揃っていることは珍しくないはずです。書き漏らしで損をしないことが、まず第一歩です。
誤字脱字だけで、不採用にしていた
厳しい話をひとつ。私は、職務経歴書に誤字脱字があると、それだけで不採用にしていました。
意地悪ではありません。自身の職務経歴書をしっかり見直せない人が、契約書をしっかり見られるとは思えなかったからです。法務の仕事は、一字一句の確認が必要になる場面もあります。提出前に、時間を置いてもう一度読み返す。声に出して読んでみる。できれば第三者にも見てもらう。契約書のレビューと同じ丁寧さを、自分の書類にもかける価値があります。
自己PR欄は「内容」より「文章」を見ていた
意外に思われるかもしれませんが、自己PR欄で見ていたのは、アピールの中身よりも文章そのものでした。主語と述語がしっかり対応しているか、一文が長すぎないか、分かりやすく書けているか、などです。
一文が長く読みにくい文章だと、「きっと説明が苦手な方なんだろうな」という想像につながりがちでした。複雑なことを分かりやすく伝えるのは、法務の仕事の大きな部分だからです。
見方を変えれば、ここはチャンスでもあります。職務経歴そのものは今さら変えられませんが、PRの文章は、今日からいくらでも磨けます。短い文で、主語述語を明確に、気持ちを込めて書く。それだけで印象は変わると思います。
応募側として、私が工夫した書き方
ここからは、私自身が転職したときに、応募側として職務経歴書で工夫した書き方です。
業務内容は括弧書きで「イメージできるように」
経歴の各項目には、括弧書きで業務内容を簡単に添えていました。会社名と部署名だけでは、読み手は仕事の中身をイメージしにくいものです。読み手が具体的に想像できるように書く。採用側として書類を読んできた経験が、そのまま活きた部分です。あわせて、昇格や責任者の経験もアピールになると考えて記入していました。
質問してほしいことは、あえて「一言だけ」書く
自己PR欄では、深掘りしてほしいこと(面接で話せば強みになること)を、あえて一言だけ書いていました。書類ですべてを説明しきるのではなく、「これはどういう経験ですか?」と質問してもらうための布石です。面接で聞かれる内容を、書類の段階で仕込んでおくイメージです。
逆に、海外駐在の経験は、経歴にはもちろん書きましたが、アピールポイントとしては書きませんでした。目を引く経歴は、こちらから押さなくても、どのみち質問してもらえるからです。PR欄の一言は、そのままだと埋もれてしまいそうな強みに使う。そんな使い分けをしていました。
相手のニーズを想像して書く
内容面では、事業法務・コンプライアンス・紛争解決をバランスよく経験してきたことを軸にしました。加えて、当時は各社が内部通報対応を強化している時期でしたから、その経験があることも意識して伝えました。自分が書きたいことからではなく、相手が知りたいはずのことから書く。ここでも採用側の目線が役に立ちました。
エージェントの添削を活用する
私の職務経歴書は、JACリクルートメントの方が添削してくださいました。エージェントの企業担当は、「この職務経歴書が担当企業のニーズに合っているか」という目で見ています。応募先ごとの採用側の目線を、先回りして持っている人たちです。
だからこそ、最初の面談で「修正すべき点はありますか」と聞いておくことをおすすめします。私がエージェントを実際にどう使ったかは「JACリクルートメント体験記」に書いています。
まとめ 職務経歴書は「読み手のニーズ」を想像して書く
最後に、要点を整理します。
・職務経歴書は、しっかり読まれ、面接の土台になる
・伝えるべきは4つの経験の「有無」、事業法務・コンプライアンス・紛争解決・海外経験
・誤字脱字は、それだけで不採用にしていました。見直しの丁寧さも、法務のスキルのうち
・自己PR欄は文章力の見本。短い文で、主語述語を明確に
・深掘りしてほしいことは、一言だけ書いて面接での質問につなげる
・仕上げに、エージェントの添削で「応募先のニーズ」との一致性確認
法務の転職で「何が」評価されるのかは「法務の転職で評価されるスキル」に、転職活動をいつ始めるかは「転職活動は何月に始めるか」に書いています。あわせて読んでいただけたら嬉しいです。

