「転職したほうがいい気はする。でも、本当にそれが正解か?」。正しく判断したいけど、客観的に判断するのは難しい。私も以前は「なんとなく」で転職を選択肢から外していました。
別の記事で「会社を変えたほうが良いかも」と感じた5つのサインを書きましたが、サインに気づいたからといって、すぐに動けるわけではありません。実際に転職を決断するまでに私がやったのは、「得るもの・失うもの」を紙に全部書き出して、客観的に並べることでした。
同じ立場で迷っている方の参考になればと思い、当時の思考プロセスを記録しておきます。
なぜ感情ではなく「書き出して比べる」のか
「転職」が頭をよぎったとき、私はまず、転職により「得るもの」と「失うもの」を全部書き出すことにしました。管理部門で組織責任者をしていた経験から、判断は感情ではなく、客観的に項目を並べてから下すべきだと考えていたからです。ただし、最終判断に感情を入れるのは悪いことではないと思います。感情を抜いた「分析」があって初めて、最後に感情で決められる。そういう順序です。
書き出す、という物理的な行為自体には、頭の中で混ざっていたものを、少し距離を置いて見直すことができる意味があると思います。法務の仕事に限らず、組織の判断を支える業務では、他人に見せないまでも、頭の中を一度書き出して整理する。そういう癖がついていました。
私が書き出した「得るもの・失うもの」
得るもの
・収入増(額面+200万円/年)。エージェント数社から提示された求人レンジで、額面2割増の約1,200万円が見込めました
・別の業界・別の組織、別の考え方、別の判断軸を学べる機会
・転職経験そのものによる市場価値向上(転職し次の会社でもやっていければ、どこでもやれる人と見てもらえる)
・より大企業での経験を積めることでの市場価値向上
・「自分の道を自分で決めた」という実感
失うもの・リスク
・当面のボーナス。転職時には入社前の業績を対象とするボーナスが出ないのが通例で、私の場合は約120万円(約半年分)が消える計算でした
・今の会社で築いてきた信頼関係や社内のポジション
・課長のポジション(一般的に転職直後は組織責任者にはならず、様子を見られることも多い)
・次の会社で文化や期待が合わない可能性(極論、もう一度転職が必要になる)
・「あの時、辞めなければよかった」と将来後悔する可能性
すべて書き出してみて、「得るもの」の方が明らかに大きいことに気づきました。「得るもの」の多くは、若いうちにしか手に入らないものでもあります。学ぶ機会は年齢とともに狭まっていく。そう感じていたからです。このように並べてみると、決断は思っていたよりクリアになり、私は転職の道に進みました。
30代、40代「一番必要とされる年代」
30代、40代は、一番仕事をする時期で、最も学ぶことが多い時期だと、私は思います。20代までに身につけた基礎の上に、判断力や実行力が乗ってくる。そういう感覚があります。特に20代のうちにたくさんの業務をこなした方にとっては、複利が効いてくる時期で、実力が飛躍していく時期でもであります。
加えて、採用側から見ても、30代・40代は即戦力として期待できる、ぜひ採用したい年代です。その手応えは、求人を眺めたり、エージェントと話したりする中で、すぐに感じられました。
「転職に遅いのではないか」という不安を持つ方は少なくないと思いますが、実際は逆で、30代、40代こそ必要とされる年代の一つだと思います。
転職を決めることと、転職活動を始めることは別物
30代で会社を変える選択肢を持ちながら、決め手がないという方は少なくないと思います。最後に一つだけ、お伝えしたいことがあります。
転職を決めることと、転職活動を始めることは、別物です。
転職活動を始めるだけなら、ほとんど何も失いません。求人を眺める、エージェントと話す、面接を受けてみる。これだけでも、自分の価値や業界の景色がはっきり見えてきます。ご自身の経験は、思っている以上に高く評価されるかもしれません。
私自身もエージェントに、次のような質問をぶつけました。
1. 自分のアピールポイントはどこになるだろうか
2. そのアピールポイントならどの程度の給与を狙えるか
3. 「このスキルがあればもっと給与が上がる」という要素はあるか
この3点を聞くだけでも、自分の強み・弱み、市場価値の輪郭が見えてきました。実際にエージェントを使った体験は「JACリクルートメント体験記」に書いています。
検討したうえで、「やはり今の会社が一番自分に合っている」と判断するのも、立派な結論だと思います。何もせずに残り続けるのと、選択肢を見た上で残ると決めるのとでは、その後の働き方や心持ちが大きく変わってくるのも事実です。
大事なのは、判断材料を集めることだと思います。私自身、「転職の門を叩いてみる」段階で見えた景色が、最後の決断を後押ししてくれました。
迷っているなら、まず門を叩いてみる。それくらいの軽さで十分だと思います。
まとめ 迷いは「書き出して比べる」と整理できる
大きな決断を感情だけで下すと、後で振り返って後悔する可能性があります。私の場合、「得るもの」と「失うもの」を紙に全部書き出して客観的に並べることで、決断は思っていたよりクリアになりました。感情に振り回されず判断する考え方は「感情に振り回されず判断する方法。客観を書き出してから、感情を足す」にまとめています。
迷っている方は、転職を決める前に、まず転職活動の門を叩いてみる。それくらいの軽さで、自分の選択肢を棚卸ししてみるのも、悪くないのではないかと思います。

